鈴木健.txt/場外乱闘 番外編

スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ発行)のスポーツ(バトル)では、サムライTVにて解説を務める鈴木健.txt氏が毎月旬なゲスト選手を招き、インタビュー形式で連載中の「鈴木健.txtの場外乱闘」が掲載されています。現在発売中の2020年2月号には、第71回ゲストとして「KNOCK OUT女子」等のリングで活躍中の女子キックボクサー・ぱんちゃん璃奈選手が登場。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!

※『月刊スカパー!』(ぴあ発行)の定期購読お申込はコチラ
※鈴木健.txt氏 twitter:@yaroutxt facebook:facebook.com/Kensuzukitxt

ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)x鈴木健.txt 場外乱闘 番外編

自分の成長を実感できるものに
出逢えてよかったです

ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)

©KNOCK OUT/FIGHTING TV サムライ/カメラマン:中原義史

始めた時はキックと
ムエタイの違いもわからず

ぱんちゃんさんにとって2019年はどんな一年でしたか。

ぱんちゃん 今までで一番楽しい年でした。こんな刺激的な毎日は、普通は送れないと思います。2019年が一番のピークで、あとはいつ死んでもいいと思えるぐらいにしあわせな年でした。

いやいや、死なれては困りますよ。

ぱんちゃん 特に9月から12月にかけては、自分の中でも伸びてきたというのがわかったんで。スポーツをしていて、自分の成長がわかるのが一番楽しくて。そこは人が見るよりも、自分の体が一番よくわかりますから。

これまで水泳や陸上などさまざまなスポーツを経験し、その中でいい記録を出してきたぱんちゃんさんですが、その時の充実感とは違いましたか。

ぱんちゃん そうですね。タイムを競うだけの競技と、相手を倒して勝つ競技はやっぱり違うので。自分だけとの闘いじゃないですか、記録を争うのは。でも、キックは人との闘いであるところが面白いし難しいところで、怖さとか不安もある分、終わったあとの達成感や勝った時の喜びが何倍もあります。

視覚的にも勝った時の形がわかりやすいですよね。

ぱんちゃん 自分の蹴りが当たった時とかそうですよね。サッカー選手がゴールを決めた時の感覚ってこういうのなのかなって思うんですけど、試合で決められるかどうかはぶっつけ本番じゃないですか。それがうまくいった時の楽しいという感覚はこれまでの競技の中では味わっていなかったです。最初は勝つことに必死だったんですけど、プロ5戦目6戦目あたりから楽しさを感じるようになってきました。アマチュアを含めて20戦ぐらいしているんですけど、ようやくそれがわかるようになって、もっとキックをやりたいなと思うようになりましたね。

その喜びは、同世代の友達とかに言っても理解されないでしょう。

ぱんちゃん 基本、みんなに言われるのは「痛いのになんでそんなことをするの?」なんです。痛さは…慣れますよね? 痛いけど、痛くて嫌だとはならずに、この野郎!っていう気になって逆にエネルギーになる。

記録を競う競技をやってきた自分が、よく痛みをともなう競技にいけたなと思いませんか。

ぱんちゃん 言われてみればそうですよね。でも、小さい頃から強さへのあこがれはあったんです。自分が強くなれるとはまったく思っていなかったですけど、キックボクシングというものによって自分が強くなれるかもしれないという希望を見いだした時に、すごくエネルギーが湧いてきました。

女の子だったぱんちゃんさんが、強さにあこがれたのはなぜだったんでしょう。

ぱんちゃん やっぱりドラゴンボールですね。女の子が強いっていうのがカッコよく思えたんです。十代の時は普通に漫画として見ていたんですけど、二十歳の誕生日に友達から「パンちゃんに似ているね」と言われたのがすごく嬉しくて、パンちゃんに近づきたいなと思うようになって…そんな簡単な理由でキックを始めちゃったんですよ。

自分もなれるかもしれないと思えたんですね。一般的にはその競技を見て自分もやってみたいと思って始めるものですが、ぱんちゃんさんは違った動機だった。

ぱんちゃん キックボクシング、一度も見たことがなかったですからね。始めた時はキックとムエタイの違いさえわからなくて、ジムのニックネームかなと思っていたんですよ。「ムエタイジム」みたいな。みんなにタイの国技だって教えてもらってもキックとどこが違うのかなーって1年間ぐらい思っていました。それでじっさいにタイへいってみてルールの違いとかがわかって。

キックを始めるまでは人を蹴ったり殴ったりした時の快感など知らなかったんですよね。

ぱんちゃん 喧嘩したことはあったんですけど、楽しいと思ったことはなかったです。

喧嘩はしていたんですか。

ぱんちゃん お兄ちゃんに喧嘩で勝てたことがなくて。姉とお母さんには勝てるのに、お父さんとお兄ちゃんには勝てない。

男性には勝てない。どういう理由でお兄さんと喧嘩に至るんですか。

ぱんちゃん チャンネルのリモコン争いとか、クーラーの温度とか、その程度のものです。兄妹で同じ時期に思春期を迎えていたので、ちょっとしたことで怒っちゃうんですよ。

小さい頃からスポーツをやっていたのは、親御さんの方針だったんですか。

ぱんちゃん スポーツだけでなく、習いごとを週に10個ぐらい習わせてもらっていたんです。ピアノ、バレエ、ダンス、ソロバン、公文、水泳…塾もいっていたし。

遊ぶ時間がないですよね。そこに疑問は感じなかったんですか。

ぱんちゃん お兄ちゃん、お姉ちゃんもやっていたので、そういうものだと思っていました。その中で水泳にしか興味が湧かなくて。それまでも、体を動かすことだけが好きで、英会話とかはいっても遊んでいただけでした。ソロバンは暗算でなんとか段を取れたんですけど。遊ぶ時間がないといっても、習いごとを一緒にやっている子たちとはそれぞれ遊んでいたんで、キツいとか縛られているとは思わずにやっていました。

その頃、漫画ではなく実在する人物にあこがれたり影響を受けたりする対象はいたんですか。

ぱんちゃん 特にあこがれた人はいなかったですね。いろいろやっていたからテレビを見る時間もそんなになかったので。

パン、一点集中だったんですね。

ぱんちゃん そうですね。私が勝手にあこがれているから、リングネームも“パン”を名乗るのはダメだと思って“ぱん”とひらがなにして“ちゃん”をつけているんです。

そうして始めたキックですが、最初にこの競技ならではの魅力を感じたのはどこでしたか。

ぱんちゃん たとえば陸上競技で、ただ走るというのは頭を使わないですよね。ある意味、無になって走るんですけど、キックはその一瞬一瞬に考えないといけない。そこがほかの競技と全然違うなと思いました。フェイントを使うのもそうだし、下を当ててから上を攻めるとかいろんなことを考えながらやらなければならない。それが、こんなにも難しいのかと。簡単にできたら、ハマらないんだと思います。先が見えない、どこまでいけるかわからない方が燃えちゃいますね。あと、自分がやられる競技ですから当然、やられまいと必死になる。命が懸かっている実感があるし、脳震とうだって起こすし。自分自身がボロボロになってしまうからこそサボれないんですよね。

体を動かしながらそのつど最善の形を考え続けるというのは、よくよく考えるとすごいことをやっているんですよね。

ぱんちゃん 何十戦もやっている選手の方を見ると、本当にすごいと思います。相手も同じように考えながらやっている中で、それを一瞬の判断で上回らなければ勝てない難しさ…水泳はみんないっせいに泳ぎ出して、陸上はみんないっせいに走り出しますけど、キックは一人ずつ闘い方もスタイルも違うんで、そこが面白いです。闘ったことがない人とやるたびに新しい発見があるので、奥が深いと思います。

試合を終えた直後にバックステージコメントで場面場面を振り返りますが、憶えているものなんですか。

ぱんちゃん ああやって言葉にすると長く感じますけど、じっさいはそれってほんの一瞬のことなんですよね。これだ!と思った瞬間に出している。それを練習で出せていたら、ある程度は考えなくても出るみたいで。頭で考えることも、反復練習によって出るようになってくるんです。前回の試合(新日本キック12・8後楽園ホール、ペットチョンプー・モー・クルンテープトンブリー戦)で、フェイントで下に入れてハイっていうのが考えずに出せて自分自身が驚いたんです。体が覚えていたんでしょうね。それまでの試合ではフェイントを使わずに蹴っていたんで、だからかわされてガードもされたんですけど、考えていないことが出せたのが嬉しかったんです。

思考を超えたことをやってくれた自分の体を誉めてやりたいですね。

ぱんちゃん そういう形で自分の成長を実感できるものに、出逢えてよかったです。

無敗を守るよりも
どこまでできるかの挑戦

出逢っていなかったら、今頃どうなっていたでしょう。

ぱんちゃん ニートになってアルバイトをしての繰り返しだったと思います。何もなかったですから…やりたいこともなければ、自分に対する自信もなかったんで。

でも、スポーツで実績を出していたじゃないですか。

ぱんちゃん 高校1年の時に走りすぎて疲労骨折したことで、挫折したんです。9ヵ月ぐらい治療しても治らなかったので部活をやめて、同時に学校もやめて…そこからは何も自分にはなくなっちゃったので、何もできなくて。

そこは時間をかけてでも治してもう一度とは思えなかったんですか。

ぱんちゃん 骨折した時に1年間ぐらいは無理だと言われて、15歳の1年って大きいんですよね。先頭を走っていたのが、休んでいる間にどんどん抜かされていくのを見せられるとそれなりにプライドもあったので、負けるなんて考えられなかったんです。それで、負けるぐらいならケガでやめる方を選ぶってなってしまったんですね。陸上一本でやってきたので友達がいなくて、誰と仲良くしたらいいのかもわからなくなって。高校を卒業したあとも陸上を続けて、大阪で一番を獲りたいと思いながらやってきたのが、それができなくなってしまった。若かったこともあったんですけど、ケガが治るのを待って…という選択肢が自分の中になくて「終わっちゃった」って思ったんですね。高校3年間で結果を出さなければならないのに、1年もできないってなると自分には無理だと。

スポーツ以外でなりたい職業はなかったんですか。

ぱんちゃん 一切なかったんです。小さい頃は親がオーディションを受けさせていたこともあってアイドルになれたらいいなというのはあったんですけど、受かっても陸上と水泳の毎日だったし、陸上がダメになった時もアイドルの方でとは考えがいかず、自暴自棄になっていました。ひねくれていましたねえ、なんで自分だけがこんなケガをするんだろうとか、周りがうらやましくて妬んでいました。今だったら頑張れると思うんですけど。

親御さんは高校をやめる時に何も言わなかったんですか。

ぱんちゃん ずっと真面目にやってきていたから驚いていました。学校をやめたことは親に言わず、制服を着て家を出て公園で時間を潰していたんですけど、そのうち友達の家に泊まるようになって、家に帰れないなあって。学校に行っていなかったことを知られた時は怒られましたね。

21歳で東京に出てくるんですよね。

ぱんちゃん 6年間、今思い起こしても何をやっていたのか出てこないぐらいに何もやっていなかったです。ほかにやりたいことを見つけようといろいろ試してはみたんですけど、どれもまったく充実感がなくて。居酒屋、カラオケで働いても、無。ほかに自分が打ち込めるものがほしいとはずっと思っていたんですけど、スポーツで感じられた達成感を超えるものはなかったんです。そんな中で、先ほども言いましたけど友達の家で二十歳の誕生会をやった時にパンに似ていると言われて、5年間をムダにしてしまったけど、大人になったんだからここから変えてみようと思い、コンパニオン事務所に入りました。そこからモデルの話が来るようになって、それが楽しくて「これだったら頑張れるかもしれない」と思えて元気が出てきたんです。その元気によってキックを始められたんですけど。

モデルやタレント活動方面でやっていこうとは思わなかったんですか。

ぱんちゃん 私、写真を撮られるのが好きで、それが雑誌のグラビアに載ると嬉しいし親にも喜んでもらえてよかったんですけど、そこは競争率も激しいので本格的にその世界でやろうと思っても大変なのはわかっていたんです。有名になりたいとか思えば続けられたんでしょうけど、それよりも楽しいと思えることをやって生き生きしたいという思いの方が強くて。

人前で何かをやることの喜びは感じられていましたか。

ぱんちゃん ありました。舞台も4本ぐらいやって楽しかったです。

ということは人前で何かをやる世界に導かれたんでしょうね。

ぱんちゃん 女優さんだったら着飾って魅せますけど、自分がやっているのは誰にも見せないようなもので魅せるものじゃないですか。そこが私はよりすごいと思います。入場する時も応援してくださる皆さんの声で、緊張が少しは取れて楽しめる方に気を向けることができますし…なんで応援してくれているのか、自分ではわからないんですけど。

そこは応援したいと思える魅力があるからじゃないですか。

ぱんちゃん 私だったら自分を応援しないです。あんまり好きなタイプじゃないんで。だからこそ嬉しいんですよね。人から応援してもらえている事実だけで自信にもつながるんで。アマチュアの頃は応援してくれるのも身内だけで、自分が勝ちたいというだけでやっていたのが、応援に応えたいという気持ちが力になっている。プレッシャーにもなりますけど、力もいただいているんですよね。

引きこもっていた頃を思えば、他者から応援されるシチュエーションは考えられないでしょう。

ぱんちゃん しあわせです、本当にしあわせだと思います。誰も自分のことなんか見てくれない時期がありましたから。なので、試合内容でお返ししたいという思いが強いですよね。

期待が高まるにつれて、こうしてメディアにも露出し女子キックというジャンルを背負う立場になっていくわけですが、そのへんの意識はデビュー1年で芽生えていますか。

ぱんちゃん そういう期待をされているのであればやろうと思いますし、そのためにも2020年はトップ選手と闘いたい。今、プロになって6連勝しているんですけど無敗を守りたいとは正直思っていなくて。アマチュアの時はとにかく負けるのが嫌だったんですけど、今は自分がどこまでできるか挑戦したいので、トップ選手に敗れたとしてもいつかリベンジしてやろうと思えるんです。強い選手とどこまでやれるか。同じ階級だと那須川梨々選手、50何戦もやっている紅絹選手やベルトを持っている人たちがたくさんいますので、誰と特定せずにそういう皆さんと対戦できるところまで自分を持っていかなければいけないと思っています。

待受けは那須川天心の
かめはめ波ポーズ画像

2020年最初の試合(KNOCK OUT2・11大田区総合体育館)が祥子選手との再戦になります。

ぱんちゃん 前回は、勝ちはしたんですけど(KNOCK OUT8・18大田区総合体育館。3ラウンド判定勝ち)自信のなさというか、気持ちの面で負けてしまったというのがあるので、今回は自分のできることがこの4ヵ月(取材時)で相当変わっているし、あと2ヵ月あればもっとパワーアップできる。同じ相手だからこそ、自分の成長具合を見せられると思っています。

前回、気持ちの面で負けたというのは?

ぱんちゃん 試合の前からですね。アップする時、初めて大きな舞台に立つプレッシャーもあったし、一つ前のプロ3戦目を終えてからグラビアの仕事をして、注目していただいたあとだったので、すごいプレッシャーだったんです。その時は実力にまったく自信がなくて、まだ納得できる動きもできていないのに注目されていいのかという思いがありました。それに1ヵ月半前の試合で鼻が折れて対人練習が直前にしかできなくて、自信が持てなかった。その結果が悔しい内容で。そこから練習内容を変えたことで伸びた実感を得られて、10月と12月の試合でいい動きができてそれを証明できたことが自信につながったんです。5戦目(KNOCK OUT×REBELS10・4後楽園ホール、MIREYに3ラウンド判定勝ち)が、2ラウンド途中まではいつもの動きだったんですけど、そこからなんかワーッ!と変わった感覚があったんですね。

試合を終えてではなく試合途中、それもラウンドの途中から自分の中の変化が実感できたと。

ぱんちゃん そうなんです。うまく当たった瞬間に「これか!」というのがあって。それで前回の6戦目は相手が階級下だったんですけど、今までで一番自分が変わったという感触を持った上でできました。なので、今回の試合はこれが最後のリベンジと思ってやりますし、これでしっかりと差を見せつけられたらもうやる必要はなくなって上に進めるんで。今、伸びているんであれば今年はもっと伸びるし、それを続けていたら頑張ればトップに立てると思えたんです。「なりたい!」から「なれる!」に変わったことで、プレッシャーも「見せたい」に変わってきた。それまでは本当に「どうしよう…まだこんなダメなのに」って思いながらリングに上がっていました。今は見てほしいと思っているんです。もっと女子キックを知ってほしい。やっぱり男子選手の試合と比べるとレベルが低く見えてしまうんですね、威力とかの面で。基本判定も多くて、バッカンバッカン倒れる方が面白いじゃないですか。そうやって比べて見られることをみんな悔しいと思ってやっているんです。そこを女子キックは女子キックとして見てほしいですね。

女子キックというジャンルを自分の力でどうしていきたいと思っていますか。

ぱんちゃん 今はけっこう普通の女性がやるようになったんですけど、最初はそんなのでできるのかとか、そんなに甘いものじゃないぞって言われるんです。そういう中で、じっさいに試合を見に来てくださるお客さんには頑張る姿が伝わっていると思うので、一人でも多くの方にキックの試合を見てほしいですし、そのためならどんどんメディアに出たいと思っていますけど、一番の本職はキックなんで闘う姿を見てくれたら、どの選手にとってもパワーになると思うんです。お客さんで埋まっている会場が、選手の力になります。自分だけじゃなく、周りの選手たちもみんなメッチャメチャ頑張っているんです。骨折したりとか、1年間練習もできないとか、経済状況が厳しいとかそういうのを見ているので、もっと応援してもらえたら練習に専念できるようになるだろうし。私は恵まれている方で、スポンサーさんとかチケットを買ってくださる方がいるから練習に専念できているんですけど、みんなも練習一本に集中できないところが一番辛いことだと思うので、見に来ていただくことが何よりも…ですね。

リング外での露出も、このジャンルに興味を持ってもらうためにやっているんですね。

ぱんちゃん ええ。まったく格闘技を知らない方がファンになってくれるので、それも大きいと思います。

今現在、ほかのジャンルで活躍する女子で影響を受けたり意識したりしている人はいますか。

ぱんちゃん 尊敬したりすごいなと思う方はいるんですけど、マネするのではなくそれは自分にはできないので違う道ですごくならなければならないって思っていて、本当にすごいなーで終わってしまいますね。

考え方や姿勢で見習っている人は? これは男子も含めてですが。

ぱんちゃん 定番になっちゃいますけど、那須川天心選手はすごいなと思います。同じ階級であんなに差をつけて倒すというのが本当にすごいと思います。あれほど差をつけて勝つ選手はほかにいないですよ。それぐらい圧倒的な差をつけられたらジャンルを背負うようなスター性が出てくるんだろうなと思いますし、自分も誰がどう見ても一方的に勝ちたいというのがあるんです。天心選手が理想ではありますけど、マネなんて誰もできないですよね。

那須川選手と話をしたことはあるんですか。

ぱんちゃん タイへ練習にいった時、たまたま『アナザースカイ』の撮影で天心選手も来られていて。

初対面がタイだったと。それもなかなか運命的ですね。

ぱんちゃん 面と向かった時は緊張して話せなかったですね。アマチュア時代、天心選手が通っているパーソナルジムへ私も強くなりたいと思って通い始めて。2年間ぐらい同じところに通っているのに、たまに会っても恥ずかしくて挨拶ぐらいしか話せていないです。待受けも天心選手で…(STRUGGLE・鈴木秀明)会長が大阪で会った時に、ぱんちゃんにって撮ってきてくれたんですけど(スマホの待受け画面がかめはめ波ポーズをしている那須川天心)。

ツーショットを撮ったことは?

ぱんちゃん あります。前まではそちらを待受けにしていたんですけど、かめはめ波の方が嬉しくて。

パワーをもらえそうですもんね。

ぱんちゃん みんなが天心選手っていうからミーハーのように思われちゃうんですけどね。私も、たくさんの方を魅せられる試合をしていきたいと思っています。そして、一人でも多くの方に応援していただけたら嬉しいし、一番後ろの席でも嬉しいのでちょっとでも興味を持っていただけたら見に来てください。心が燃えている者同士の闘いは、必ず見ている者の心を動かすものがあると思うので、同性の方にも見てほしいです。女性の方の応援、すごく嬉しいです!