鈴木健.txt/場外乱闘 番外編

スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ発行)のスポーツ(バトル)では、サムライTVにて解説を務める鈴木健.txt氏が毎月旬なゲスト選手を招き、インタビュー形式で連載中の「鈴木健.txtの場外乱闘」が掲載されています。現在発売中の2023年7月号では、第108回ゲストとして東京女子プロレス・瑞希選手が登場。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!

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※鈴木健.txt氏 twitter:@yaroutxt facebook:facebook.com/Kensuzukitxt

瑞希(東京女子プロレス)x鈴木健.txt 場外乱闘 番外編

大会場のメインに立つとか
タイトルマッチをするとか、
脳の片隅にもなかったです

瑞希(東京女子プロレス)

私の中ではやっと伊藤さんとの
約束を果たせる気持ちなんです

3・18有明コロシアムで宿願だったプリンセス・オブ・プリンセス王者になり3ヵ月ほど経ちます。その間、2度の防衛を果たしておりますが、チャンピオンになる前に描いていた理想と比べ、現在のご自身はどうでしょうか。

瑞希 何度も挑戦して獲れなくて…を繰り返して、そこまでが大変だと思っていたんです。でも、獲ってから守るのがすごく大変だなって感じていて。

ベルトは獲るよりも守る方が難しいとは、よく言われることですよね。

瑞希 ええ、それを本当に実感しています。それは、タッグのタイトルともまた違って、一人っていうところで今まで感じたことがないプレッシャーがありますし、今は2冠なのもあって(取材後、坂崎ユカ首の負傷でプリンセスタッグ王座を返上)、ずっと前哨戦→防衛戦→前哨戦→防衛戦、タイトルマッチ→タイトルマッチという状況が続いていて、息を休めている時間がないのが逆にいいのかなって思っています。考える時間、自分と向き合う時間ができてしまうと私ってネガティブなので、すごくこう(前ばかりを見てしまう仕草)なっちゃう部分があるので、この何も考えずに突っ走り続けなきゃいけない期間っていうのが意外といいのかなと思っています。

そういう考え方ですか。

瑞希 そう思いつつ、やっぱり今までのチャンピオンの方々を私は尊敬していて、タイトルマッチでメインというのが自分になるわけじゃないですか。そのプレッシャーがハンパじゃなくて。でも、チャンピオンとしてそれを表に出すのは…っていう気持ちもありつつですね、今は。2度の防衛戦(角田奈穂、ソーヤー・レック)の相手が今までとは違う選手っていうのもあって、防衛戦の中で自分もかなり成長しているなと感じます。

ベルトを持つことによっての成長という手応えは得られていると。

瑞希 奈穂ちゃんとの防衛戦は、私がチャンピオンになった時に挑戦してきてほしいと思ったところに届いたなっていう感覚があって。奈穂ちゃんって、いつも何かに遠慮している感じがしちゃって、でも奈緒ちゃんはそんなんじゃないよねってずっと思っていたので。そういうのがあったから(タイトルを懸けて)やれたっていうのはすごく嬉しかったです。ソーヤー選手に関しては本当に未知の相手だったんですよ。自分でも、これはどうやったら勝てるんだろうと思ったんですけど、いっぱい頭を使ってガムシャラにいくことによって勝てたんで、今はできないことってないんじゃないかなと思い始めている頃です。

考える時間がないのが逆にいいとのことですが、忙しい方が性に合っているんですか。

瑞希 いろんなものを詰め込まれ過ぎると一杯いっぱいになるタイプではあるんですけど…だからといって時間があると、私はチャンピオンとしてどうなんだろうとか考えることも増えてしまって。タイトルマッチが決まったら、そこに向けてのことを考えなくちゃいけなくなるじゃないですか。だからよけいなことを考える時間はないって感じ始めて。私はもともとネガティブというか、自分なんて…って思っちゃうタイプなんですけど、それを出しちゃいけないと思って前向きに考えるようになりました。

このキャリアのタイミングで到達したと。

瑞希 私で大丈夫なのかなとか、挑戦者の時もそう思っていました。それが今は、もうやるしかないと思えてやれています。どんな私であっても、そこはやるしかないなって。

チャンピオンになってから見えている景色は、いいモノに映っていますか。

瑞希 わかってはいたはずなのに責任が大きくて、到達したことでの喜びもありはするんですけど、そこがゴールじゃないってことに立ってみて気づいたんです。そこで、これはまだ到達しきってないなって。

そういうふうに思えていること自体、ネガティブだった自分と比べて発言の内容が変わってきていますよね。前向きな言葉がどんどん出てくるようになった。

瑞希 ああ、そういうことですよね。そう見えているなら、私は嬉しいですね。

5月の防衛戦から7・8大田区総合体育館まで2ヵ月タイトル戦が空くわけですが、本来ならばもっと早いペースでやりたかったというのはありますか。

瑞希 私は目の前のことをやっていかなきゃダメなタイプで、そこはタッグの防衛戦もあることで、大田区までは完全にタッグの方へ照準を合わせていかなきゃいけないなという気持ちです。タッグのベルトを獲るのは3回目になるんですけど、1回目は本当に守ることに必死で、2回目でちょっと楽しむ余裕が出てきて、今回の3回目はユカちゃんの卒業が決まっている中でのタッグのベルトなので…守る以上に輝かさなければいけないなと、今まで以上に負けるとか勝つとか以上の何かを感じています。もちろん勝ち負けはあって守ることが前提なんですけど……落としたら失っちゃうものがあるんじゃないかと思っちゃうので、ここは守りきりたいなと思います。

一緒にベルトを持っているパートナーの団体卒業が決まっているシチュエーションで防衛戦をやるのは、気持ちの持っていき方の難しさは感じていないですか。

瑞希 本当に……このことを考えると……泣いちゃうんであれなんですけど(涙ぐむ)、ヘヘッ…(笑顔を努める)。そうですね、だから考えないようにしてて、楽しみたいなと思っています。2つのベルトを持って(忙しく)やることでユカっちの卒業とかを考え込まずに済むというか、自分が一番楽しまなきゃお客さんにも伝わらないし、私が持っているベルトをほしいと思ってくれる選手も出てこないと思うので、このキラキラした東京女子の中で私も自分らしくキラキラしていたいです!

坂崎選手のことをお聞きしようと思っていたんですが、聞けなくなってしまったじゃないですか。ちょっと、そのことは置いておきましょう。

瑞希 ダメなんですよねえ、本人の前では大丈夫なんですけど、本人がいないところだと…。

7・8大田区の防衛戦は伊藤麻希選手が相手です。東京女子における瑞希選手の歴史は伊藤選手との関係からスタートしていて、その相手とこのタイミングで、しかも自分がチャンピオンとして挑戦を受けることに関してはどのように受け止めておりますでしょうか。

瑞希 やっとという言い方が合っているのかわからないですけど、伊藤さんとこのベルトを懸けてできる日が来たことがとても自分の中では大きいです。

いつかは…とは思っていたんですね。

瑞希 私が初めてこのベルトに挑戦した時のチャンピオンが才木玲佳さんだったんですけど、伊藤さんにあと押しされて挑戦したんです。その時、獲ったら伊藤さんと私でこのベルトを懸けて試合をしましょうっていう約束をしながらそれをお互いかなえられずに来て、伊藤さんがそのことを憶えているかわからないですけど私の中では本当にやっと約束が果たせる気持ちなんですね。ただ私、伊藤さんと闘うのが苦手で。それは自分の持っていないものを持っている人で、それにあこがれるし素敵だなと思うんですけど、自分に足りていないものとしてすごく感じてしまうんです。なので、ベルトを獲ってから伊藤さんの名前はずっと頭の中にあったんですけど、無意識に避けていた部分があるかと思っていたので、伊藤さんが出てきた時に嬉しい気持ちと「あー、来ちゃったか」っていう気持ちが複雑に混ざり合いました。

苦手というのはレスラーとして苦手なんですか、それとも人として苦手なんですか。

瑞希 レスラーとしても苦手ですね。昔組んでいたし、大きなタイミング、タイミングで伊藤さんと闘うことが多かったので、私の弱い心の部分も知っているし、でも私の強い心の部分も知っている。それはお互いに知ってて、闘う上で知りすぎているんだけど真っ向勝負で闘いたくなっちゃう相手なんです。感情を揺さぶられるというか、心臓が重くなりますね。

お互いを知り尽くしているというのは、坂崎選手とはまた違う距離感なんですか。

瑞希 全然違う距離感ですね。まったく逆かもしれないです。私の中では(伊藤は)まったく違うところにいるという感じです。

その違うところにいる人が挑戦に名乗りをあげたわけですが、東京女子のリングへ上がるようになってからの5年間の中で伊藤選手は海外でも名を轟かせる存在になり、あの頃とはお互いの立ち位置も別人のようになっています。

瑞希 チャンピオンとして迎え撃つには、まず伊藤さんの世界に持っていかれないことが大事。

まずそこが難解な問題になります。

瑞希 ただ、伊藤さんの世界に持っていかれても自分の心さえブレていなければ闘えると思うので、そこは強い気持ちで臨みたいです。私が負けた時、伊藤さんは毎回この気持ちになっていたのかとわかって、そりゃ強くなるよなって思ったんです。この気持ちは二度となりたくないなって。私は伊藤さんのことをライバル視しているところがあるので、伊藤さんもきっとそうだと思うんです。前回(2021年8月14日、後楽園ホール。東京プリンセスカップ準決勝)負けた時に、二度と負けたくないと思ったので…2度目はないです。

有明ではユカっちの卒業を前提に
闘ったからいろんな感情が顔に…

東京女子のビッグマッチ、大田区やTDCホール、両国国技館や有明コロシアムでは、瑞希選手は坂崎選手絡みのカードがほとんどだったんですよね。今回は、そのカラーがないメインを務めるシチュエーションです。

瑞希 私は東京女子に上がる前からずっとタッグでやってきて、今までシングルのベルトに挑戦して、獲ってからも2度防衛戦をやった中で知らなかった自分に出逢えていることが多いんです。それで今回、東京女子の生え抜きじゃない2人がメインに立つということは、今までの(タイトルの)歴史も背負って闘わないといけない責任感、勝つこと、意地といったものを全部背負ってやらなければと思います。でもそれは当然のことですし、なによりも一番は今の瑞希vs伊藤を見てほしい。

言われてみれば、新人として東京女子に入門してきた形ではない二人がビッグマッチのメインを務めるんですよね。

瑞希 そうなんです。だからこそ、私たちが歩んできたことがここにたどり着いたんだなって実感しますよね。

生え抜きではないことは、今でもご自身の中で引っかかりとしてあるのでしょうか。

瑞希 私は、転校生組だからって一歩引いていた部分があったんです。だけど選手のみんなはそんなふうには全然思わずに接してくれるし、ファンの皆さんも昔から応援してくださって今も東京女子を見てくださっている方もやさしい言葉をかけてくれて。「みずぴょんがチャンピオンになって嬉しいよ」って言ってくれるのがすごく嬉しくて。(生え抜きではないことを)意識はしないですけど…東京女子のスタートから一緒にいたかったなあとは思います。でも、自分が歩んできた過去も絶対にムダじゃなかったと思うし、それがあったから今があると思うのでどっちかを選ぶとかではなく、一緒にいたかった気持ちもあるけどそれ以上に得てきたものがあるのでネガティブな感じではないですね。

少なくとも東京女子のファンは生え抜き云々というのは、まったく意識していないと思われます。東京女子に上がる前までは、自分が有明コロシアムのような大会場でのメインで、シングルのタイトルマッチに出るなどというのは想像していましたか。

瑞希 してなかったですね。昔も両国国技館に出させてもらったことはありましたけど、自分がメインに立つとかタイトルマッチをするとか、脳の片隅にもなかったです。そういう発想自体が浮かんでこなかった。

自分とは別世界に思えたんですか。

瑞希 その時は新人でしたし、何もできていない自分もわかっていましたし、周りにいる先輩方がすごい方々だっていうのもわかっていたし、全体ではなく自分の試合しか見えていないぐらい必死で、一試合闘うことが生きるか死ぬかぐらいで周りは何も見えていなかったです。

始めた時は何かしらの夢や目標があって入ってくるわけですよね。この選手のようになりたいとか、ベルトを巻きたいとか。

瑞希 私は、プロレスラーになりたいと思って始めたわけじゃなかったんです。プロレスを見たことがない状況で受け身をとり始めたぐらいだったので、こうなりたいという目標がずーっとなくて、我闘雲舞さんに上がり始めた時に同じぐらいの年だったりキャリアだったりの人たちと闘っていく中でベルトを懸けて試合をしたり、ライバル関係だったり、そういうものが身近になって触れるうちに負けたくないな、勝ちたいな、ベルトがほしいなという気持ちがだんだん生まれてきて。東京女子に入ってからは、折れそうな心を何度も応援してくださってる皆さんに支えられてベルトを獲りたいと何度も思って伸ばせていた感じで、今は自分がなりたい自分になっていたいと思ってます。

坂崎選手の話に戻りますが…卒業するという予感は、どこかのタイミングであったんですか。

瑞希 コロナになる前からそういう話はしていて、でもコロナになって試合数が減ったり声援がないとかの中で延びていた感じがあっったんです。あの頃からそういうことをチラッ、チラッと言っている感があったので、私は延びて嬉しいなじゃないですけど、そういう感じでしたね。ユカっちは改まって「実は…」みたいに言うと私がダメになっちゃうのがわかっているので「瑞希のこと心配やなあ、ワシもそろそろおらんくなるかもしれんからなあ」っていう言い方をするんです。

ああ、わかります。

瑞希 そういうことを小出しにしてきていたんで、これはやめるんだろうなと感じていました。

瑞希選手もジョークではなく本気で言っていると受け取ったんですね。

瑞希 わかっていました。それで、そういうノリの会話をずっと続けて続けて続けて。「甲田さん(甲田哲也・東京女子代表)に話したんや」「そうなんやー。なんて言っとった?」「うん、いつ発表しようかって話しとる」って、ラフな感じで。私が泣くの、すごい嫌なのでそういう感じで言ってくれていた。それで、いざ発表された会見のあとご飯食べにいこうって言ったんです。待ち合わせして、顔を見た瞬間に涙がバーッ!と出てきて。冗談で「なんやー、私のこと置いていくんや」なんて言っていたけど、それでも応援している自分がにじみ出ちゃっていたと思うんです。それがやっと、気を張っていたのが解放されたじゃないですけど……はい。(噛み締めるように)寂しいですけどね。

有明コロシアムで坂崎選手のプリプリ王座に挑戦した時点で、予感のようなものはあったということですね。

瑞希 はい、ずっと感じていましたし、それを前提で闘いました。だからこれが、ユカっちとやる最後のシングルマッチかもしれないって……(涙)ここで勝てなかったら、もう二度とこのベルトを懸けて闘えないかもしれないっていうのはありました。

それを表に出さずにやったのですから、シンドいですよね。

瑞希 お客さんにはどういう表情に見えたかわからないですけど、いろんな感情にあふれた顔をしちゃっているなあって、あとで映像を見て思いました。

私がもっと大きくなれたら向こうで
マジラビを組めるかもしれない

サムライTVの有明大会中継でゲスト解説を務めた時、自分の試合に関してはスラスラとは言葉が出てこなかったですよね。独り立ちという言い方は語弊があるかもしれませんが、ずっとタッグでやってきたそのパートナーが卒業するのは、プロレスラーとしての自分に影響が出ますよね。

瑞希 はい、メチャクチャ出ると思います。今も(坂崎は)アメリカにいっていないんですけど、いない間も私が一人でしっかりしなきゃいけないと思いますし。今まで後楽園のメインではタイトルマッチで私がユカっちのセコンドにつくことばかりだったんですけど、私がチャンピオンで、ユカっちがセコンドについてくれているのは一番近くで自分の成長を見せられる場所だと思うんです。そのセコンドの声にかなり助けられてはいるんですけど、だからその声がなくなっちゃったら、不安だなとは感じます。試合中、すごくユカっちの姿を探すんですよ。セコンドのユカっちの目を見てから動くようにしたりで、それは安心感があるから自然と探してしまっている。でも、支えられているばかりじゃいけないと思うので、しっかりしたねって言われるように頑張ろうって思っています。

特に大田区では、頼らずにではないですけどしっかりしたところを見せることで安心して卒業してもらいたいですよね。

瑞希 うん、やれると思います。普段から一緒にいて、タッグパートナーというだけじゃない存在なので、ほかの選手からも特殊だよねって言われるぐらいなんです。ここまでになれたのはタッグを組み始めてからだったんですけど、なんだろう…波長があったとしか言いようがないです。あとは、とにかくユカっちがやさしい。異常なぐらい。『名探偵コナン』を見た時に思ったんですけど、真一(主人公)って蘭ちゃん(ヒロイン)のことを絶対に守るじゃないですか、命懸けで守るじゃないですか。私は学生の頃、こんな命懸けで自分を守ってくれる男の人なんているわけがないよ!って思っていたんです。それをユカっちに話したら「ええっ? ワシはそうやけどなあ」って言って。だから本当に、自分の命に代えてでも他人を守れる人で、その強さとやさしさがユカっちにはあるんです。

瑞希選手は守れないんですか。

瑞希 守れます! 私も命に代えてでもユカっちを守ります。でも、私自身にユカっちが命に代えてでも守るだけの価値があるのかって思っちゃうんで。それほどの愛情を持っていてくれているんだなってその時、思ったんです。

東京女子の選手たちを愛する瑞希選手ですが、その中でなぜ坂崎ユカが特別なのかが話を聞かせていただきわかりました。そんな瑞希選手が思うこの団体の素晴らしい部分として、何をあげられますか。

瑞希 個性の豊かは皆さん、知ってくださっていると思うんですけど、誰かがとか誰よりもじゃなくてその一人ひとりが輝けていると思うんです。いろんな輝きを持っていて、それが全部強く強く強く強く光っている。その上でこの子に負けたくない!という気持ちもしっかりある。仲がいいからないんじゃなくて、それって仲がいいからこそあるものなんじゃないかって思うんです。その中でお互いに成長していこうっていう気持ちが見えますし、こうなりたいっていうのも伝わってくる。(中島)翔子さんたちのようにずっと前を走っている人たちも、誰かの壁として立っているんじゃなくて常に自分も走り続けているって感じるので、みんなでダッシュしている団体ですよね。それを見たら、きっと「わーっ!」ってなるんだと思います。

「わーっ!」ですか。

瑞希 東京女子を見て、明日も頑張れる気持ちに必ずなれると思います。

ビッグマッチのフィナーレでは、最後に全員がステージに集合して締めるというのもこの団体ならではだと思います。

瑞希 私もあの瞬間がとても好きです! 私たちと、応援してくださっている皆さんの大事な空間だなってすごく感じて、やっぱりここが大好きだー!って思う瞬間です。

そんな大好きな東京女子を、チャンピオンとしてこれからどのようにしていきたいですか。

瑞希 よりいっそう輝かせていくのはもちろんで、私がみんなのキラキラに負けちゃいけないとも思いますけど、これからの東京女子の今いる選手も、応援してくださっている皆さんも、ふれあう皆さん全員に大好きだって思ってもらえるような団体にしていきたいです。

海外進出は目標として持っているんですか。

瑞希 前回、一人でアメリカにいった時は、何かに挑戦しなければならないと思った中でいくって言ったのは自分だったんですけど、キャリーに荷物を詰めながら「いきたくないよー!」って泣いていました。それまで一人で飛行機に乗ったことがなかったので乗り換えも不安で、何をそんなに固く考えているの?っていうぐらい考え込んで、着いてからも一人で言葉も通じない、食べたいものも買えない状況で、けっこうナーバスになったんですけど、試合をするとすごく楽しくて。海外のお客さんの温かさにも触れたし、帰ってきた時には楽しかったなって思えたんです。でも、そう思ってもだからといって海外にいっぱいいきたいとまではならなかったんです。

試合の楽しさとそれ以外は別モノですからね。

瑞希 だけど、チャレンジしなかったらこの楽しさも知れなかったんだと思うので。泣きながらいっても笑顔で帰ってきたのだから、来たお話は極力断りたくない。どんなところでも自分自身の成長に絶対つながると思えているので挑戦したいと思うし、それが東京女子に帰ってきた私にもプラスになると思うし。一番はもう、マジラビ(坂崎とのタッグ)を続させたい気持ちが強いので、次は坂崎とアメリカにいくんですけどそこで何かを残しておきたいと思います。

坂崎選手が卒業したあともタッグを継続したいということですか。

瑞希 私がもっと大きくなれたらまたマジラビで組めるかもしれない。ただ今はベルトを2本持っているのでいくべきじゃないと考えたんですけど、信頼できる選手がたくさん東京女子にはいるので、自分も成長するためにはいろんなことに挑戦して、いろんなものを見せていきたいなって。そこはわがままになりつつ、守るだけじゃなく攻めていかなきゃなと。そうじゃないと新しい未来がないって感じるので頑張ろうと思います。

そういったものが今の瑞希選手を突き動かしているんですね。

瑞希 私は東京女子プロレスもマジラビも大好きです。どちらも大切にしたい。自分の頑張り次第だと思ってます!