スカパー!公認番組ガイド誌『月刊スカパー!』(ぴあ株式会社発行)では、毎月旬なゲスト選手が語る「鈴木健.txtの場外乱闘」が連載されています。現在発売中の2026年3月号では、第140回(本誌ナンバリング)ゲストとして新日本プロレス・ウルフアロン選手が登場。誌面では惜しくも載せられなかった部分を含めて大公開!!(取材・清藤和宏 イチロクザンニ、構成:鈴木健.txt)
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自分の中にあるとは
思っていなかった闘争心が
プロレスでは出た
ウルフアロン(新日本プロレス)

僕は棚橋社長と違って疲れる
けど音をあげてはいられない
1・4東京ドームにおけるEVIL選手とのデビュー戦直後のバックステージコメントでは「自己採点はまだわからない」と言われていましたがその後、映像は見ましたか。
ウルフ はい。全体的な闘い方としては練習してきたものが出ているなとは思いましたけど、もっと動きの中で鋭さだったりとか、抑揚をつけて動ける部分もあったんじゃないかなとは思いました。力をこめるところはもっと力をこめたり、技を決める時の最後、投げ切るところまで…柔道技でいく時、もっと鋭くかけられるなって。柔道の時のクセで、叩きつけるというよりは投げる感じだったので、もっと相手にダメージを食らわせることができるんじゃないかという発見はありました。
デビュー戦の反響が大きいですが、その中で強く刺さったエピソード、言葉があればお願いします。
ウルフ もちろん会場へ見に来てくれた僕の関係者の皆さんもすごく喜んでくれましたけど、先輩レスラーの方に認めていただけたのが嬉しかったです。プロレスをずっとやってきた方たちが見て褒めてくれるっていうのは、説得力があるじゃないですか。柔道の時は僕が言う立場だったので、そんなに何か言われるところはなかったんですけど、プロレスに関しては一歩目を踏み出した状態なので、そのタイミングでそういう声をもらえたのは嬉しいものでした。
デビュー戦前は「オリジナル技も考えている」と発言していましたが、みんなが知っていてインパクトのある形ものが多かった感じでした。
ウルフ あの試合の中では、それ(オリジナル技)を出すタイミングがなかったので。相手にダメージを食らわせて勝つというところに意識を向けたことで、ああいった試合になった形ですね。
新たな技を開発することは、柔道ではあまりないですよね。
ウルフ ないですよ。だいたい何かしらの名前をつけられているので。だから自分でイチから作り上げた技があるというのは、やっていて楽しいですよね。
その中でハイフライフローというのは、柔道とはまったく違う練習法だったと思われます。
ウルフ ハイフライフローに関しては、練習の時の方がよかったですね。試合では、ちょっと縮こまった動きになってしまったので。道場のリングの真ん中にマットを置いて、そこにダミー人形も置いて何回も何回も練習をしました。
あとは柔道との最大の違いは相手の技を受けきることですよね。ましてやEVIL選手の場合は反則攻撃もしてくるわけで、それに耐えられる体が必要でした。
ウルフ パイプイス(攻撃)なんて技なんですかね? 技の一つひとつが重かったです。最初に食らったタックルも、とんでもない衝撃でした。その上で勝てたんですけど、勝ち続けてこそ本当の強さだと思うんで。やっぱり、ビギナーズラックの部分も大きかったと思うんですよ。(相手は)僕がどういうことをやってくるか知らない状態での闘いだったので。柔道でもそうでしたけど、相手がわかると対策もできるのでここから先、どんどん対策をされていく中でその上をいけるようにしなきゃいけない。そこで勝ち続けてこそ、本当の強さなんじゃないかなっていうところですよね。プロレスに関しては技の出し惜しみはせずに、それによって研究されてもその上をいくだけです。
体のダメージに関して言えば、プロレスは翌日にすぐ試合がある。1・5大田区総合体育館にも出場して、体の方はどうでしたか。
ウルフ ドームの翌日、朝起きた時にちょっと疲れたなとは思いましたけど、試合があることは頭にあったので、体が疲れをあまり出さないようにしてくれたんだと思います。僕は(棚橋弘至)社長と違って疲れるんで。(取材の時点では)まだ2連戦しか経験していないんで、これが3連戦やって1日休んでまた連戦というようになってきますから。この2連戦で音をあげてはいられないですよ。
ボルチンさんとのスパーリングは
「金が取れますね」と言われました
試合の評価とは別の部分、自分自身が想像していた受け取られ方と比べて実際のところはどう感じているでしょう。
ウルフ デビュー戦を見てくれた方たちが、入門してからデビューするまで練習を積んできたことを感じ取ってくれているなというのは思いました。プロレスって、人それぞれの見方があるものだと思っていて、こういうふうに見なければいけないと決まっているものではないですよね。その上で唯一、準備してきたということは伝えたかったんです。だからそれを感じられたのは、達成感がありました。
今後、闘いたい相手として真っ先にあげたのがKONOSUKE TAKESHITA選手でした。
ウルフ スケールがデカいですよね、技の一つをとっても。けっこう大技をたたみかけるじゃないですか。あれを自分が対戦して食らったらと考えるとどうなっちゃうんだろうって思います。デビューしたばかりの僕が言うことじゃないですけど、技の完成度がムチャクチャ高い。ドームの時点ではEVIL対策のみをずっとしてきたので、対戦したらと想像することもなかったし正直、勝ち筋は見えないです。でも、それはここから作っていくものなので。今後、試合で当たることは必ず来るので、その時には勝てるという準備をして臨みます。
海外にプロレスの修行にいってみたいという希望はありますか。
ウルフ いや、まずはしっかりと新日本プロレスで経験を積んでいきたいので、今は海外というのは考えていないです。やってみてもわかったんですけど、この(新日本の)練習をやったら強くなるよなって納得できる内容ですから。オカダ・カズチカさんに相談した時も「プロレスをイチからやるなら新日本がいい」と言っていただいていたんで、それは中に入っても感じることですよね。ボルチン(オレッグ)さんとスパーリングをしたらメチャ強くて。レスリングの選手なんで服(道着)がなくても闘えるじゃないですか。僕は持つところがないのでタックル一つにしても圧力が凄い。柔道も相手のバランスを崩す競技なので引いたり押したりするんですけど、全然体幹がブレないんです。僕とボルチンさんがスパーリングしているのを見て、ヤングライオンの松本(達哉)さんが「これ、金取れますね!」と言っていましたね。
デビュー戦を迎えるまではそれを目標としてやってきたわけですが、それを終えたことで別の自分を突き動かすものが見えてきたのではと思われます。
ウルフ 今のところは、決まっている次の試合、次の試合をしっかりやることですね。あとは、ドームでやってみて思ったのは「もっともっとプロレスをやりたいな」でした。緊張もしましたし、ぎこちないところもあったとは思いますけど、終わってみて楽しかったですね。もっと深く深く、広く広くプロレスを知りたくなりました。
パウダーをぶちまけられて、170kgプレスをされても楽しかったと。
ウルフ 180kgありますよ、あれは。それでも楽しかったんです。本当にキツい闘いになりましたけど、柔道の時には出していなかった、自分の中にあるとは思っていなかった闘争心が出たんで。自分自身を発見できるのもプロレスの魅力なんじゃないかって思います。
ウルフ選手はほかの選手以上にこれからも世間に対してプロレスを伝える立場にあります。
ウルフ もちろんテレビで見るプロレスも迫力があって、見やすくて面白いんですけど、会場の熱気…選手と観客が一体化している場はプロレスでしか味わえないものだと思うんで。最初は軽い気持ちでもいいんで、見に来てほしいですね。僕は人に何かを伝えたい気持ちが強いんで、これから先もどんどん闘っていきます。