2010.8.30.mon
第100回 ファンとイベントが共に育っていくということ。
記念すべき100回目の猫耳アワーは、「8.26神実況ドラマティック・ドリーム・トークライヴIV~ハッテンニーロク・アレナ・サヨコ」に出演させて頂いて思ったことなどを皆様への感謝の言葉に替えてお届けします。よっ、酔っぱらい!(私が)。

イベントの内容についてはDDTファンの皆様にはお馴染みの神観戦記サイト「extreme party」、並びにe.p.と同じくモンブラン侯爵様がまとめて下さったトゥギャッター、画像に関してはこの猫耳でも使わせて頂いたmomoさんのブログ「momoのスタイル」をご覧頂けたらと思います。

とにかく今回私は非常に楽しかった! イベントにゲスト出演することがこんなに楽しいとは、ちょっと新鮮な驚きでもありました。それはホストの神実況コンビのお二人、村田晴郎さんと鈴木健さん、並びに神実況イベントを作り上げているスタッフの皆さんのホスピタリティはもちろんなのですが、集まって下さったお客さんが本当に私を気持ちよく喋らせて下さったことにあります。壇上に上がった瞬間に「誰がこのお客さんを育てたんですか!」と私が叫んだのは、素直な気持ちでした。

イベントやプロレス団体が立ち上がり、存続していく過程で大事なことは、そのイベントや団体自体が成長していくのはもちろん、共にそのイベントや団体を支えるファンが成長していくことがとても重要です。

例えば今回のイベントの中で即席Sアリーナを行った際、その権利を落札して下さったくだんのモンブラン侯爵さんが、DDTを応援している理由として「期待を常にいい方向で裏切り続けてくれていること」とおっしゃっていました。DDTも正に、団体の成長と共にファンを育ててきた団体です。

DDTのファンに関していつも感心してしまうのは、ブーイングと声援のタイミングがいつも完璧であること。些末なことですがこれって結構重要で、例えば今年の両国大会に向けてHGに出てきて欲しいところでRGが出てきた場面での一致団結したブーイング。更に、「DDTあるあるやりまーす」とRG師匠が言った際、本当は正直言ってちょっとDDTあるある聞きたいんだけれど、心を鬼にしてブーイングすることでRG選手のキャラクターが守られるわけです。誰が指示したわけでもないのにこの団結力。もちろん、集団行動から離れた人も当然いるでしょうが、何となく淘汰されていきます。

また29日の大日本プロレス後楽園大会でのこと。メインイベントに、伊東竜二選手の持つデスマッチヘビー級のベルトに挑戦を表明しているユニオンプロレスの石川修司選手が出場していたのですが、もう1人アブドーラ小林選手がベルト挑戦を表明したことによって石川選手が完璧に外敵扱いに。大日本の中でも圧倒的なベビーフェイスであるアブ小選手に熱い大日本ファンの声援が集中し、石川選手には厳しいブーイング。「大日本はな、一回お願いしただけで本番やらせてくれるような安い店じゃないんだよ!」というアブ小選手の素晴らしい(!)マイクもあって、場内は圧倒的にアブドーラ小林選手を後押し。

試合後に佐々木貴選手が「俺が最初にデスマッチヘビー級挑戦をアピールした時は、こんなもんじゃなかった。もっと酷いブーイングだったよ。それでも頑張って努力して、ベルト獲ることが出来たんだ。修司だってこれからだよ」とエールを送っていましたが、この反応は大日本ファンの素直な気持ちなんだと思うのです。他団体からやってきた選手に、軽々とデスマッチのベルトを口にして欲しくない。それだけ、大日本プロレスに、そして大日本のデスマッチに誇りを持っているからこその、厳しい洗礼。しかし他団体であろうが一旦佐々木貴選手のように試合内容でファンを納得させることが出来れば、絶対王者として絶大な信頼を勝ち取ることが出来るのです。大日本はその試合内容と厳しいハードルで、デスマッチファイターとデスマッチを愛するファンを育ててきました。

もちろん、「ファンを育てる」と言ったところで団体側がファンにあれをしろ、これをするなと何かを強制してきた、と言っているわけでは一切ありません。団体は素晴らしい試合と空間を提供し、ファンはそれを支えたいと思う。その関係が良好であり続けることで、ファンは育っていくものなんだと思うのです。もちろんその過程で離れていくファンもいるだろうし、明らかにこれは自分たちの望んでいる団体の形ではない、と思った時にはNOと言う時もあるでしょう。でもそれを続けて、お互いが軌道修正していくことで、共に育っていくことが出来る。

翻って神実況イベントも、そういうイベントなんだと自分自身が壇上に上がってみて実感したのです。村田アナと鈴木健さん、そしてチームの皆さんがこれまでお客さんの期待を上回る内容を提供してきたからこそ、そしてもっと言うならDDTその他の実況でお二人が絶大なる信頼関係をファンの皆さんと築いてきたからこそ、あのロフトプラスワンを期待感で満たしてゲストを呼び込むことが出来た。そんな空間に招かれた私は、本当に幸せでした。改めて、本当に皆さんありがとうございました。

果たして私は、そしてサムライTVはそんなファンの皆さんと共に育ってくることが出来たでしょうか? イベントやプロレス団体と違って視聴者の皆さんを目の前にすることはなかなか出来ないけれど、そうでありたいなあと思っています。これからもよろしくお願いいたします。

おまけ。次回12月15日の神実況イベントのゲストとしてご登場のこの方が、葛西選手プロデュースのデスマッチトーナメントに出場。一回戦で葛西選手と壮絶なデスマッチを行ったのですが、その試合後のやり取りがあまりに面白かったので完全採録いたしました。サスケさんの声で脳内再生してお楽しみ下さい。
〜試合後、リング上で。
葛西:おい東北の英雄よ!俺っちはお前のことただのバカだと思ってた。でもサスケ、俺は今日やってみて感じたんだ。こいつらの目にはどう映ってるのかわかんないけどよ、お前のデスマッチには愛がある。サスケよ、次やるときは俺っちがファンの頃に見てたザ・グレート・サスケとして、もう一回俺っちとデスマッチやろうじゃねえか。

サスケ:今日はな、本当は俺がお前に勝って、日本一のキ○ガイレスラーを名乗ろうと思ってたんだ。でもやはりお前のキ○ガイさには勝てなかった。俺はやっぱりこれからも、変なおじさんで行くよ。そしてもう一つ、お前マスクに手をかけたな。いいか、俺はブサイクなんかじゃない。俺のもう一つの顔は、小栗旬くんによく似てるんだ。

〜ここで新木場のお客さんが小栗コール。
葛西:小栗くん! 結局のところよ、お前それだけが言いたかったんだろうよ。

サスケ:改めて言う、俺は変なおじさんでいいよ。

〜サスケ、花道で変なおじさんコールに乗せて変な踊り
葛西:(それを無視して)今日は皆さん、どうもありがとうございました!

〜バックステージで。
サスケ:戦前サムライTVを通じて私が言った通り、葛西お前は地獄を見るぞ、と。勝利の女神はアイツに微笑んだけれど、アイツにとっては生き地獄だったろうよ! 何たってよ、俺が次に何をするかわかんねえだろうからな!

(素に戻り)血なまぐさいってのはこのことだね。もう嫌だね、蛍光灯はたまんないね。身体が順応して慣れていくってことはないだろうね、蛍光灯に関してはね。1ミリでも動けば破片が刺さるしね。ワンツー返す、それだけで体力消耗しちゃう。

(デスマッチに愛があると)いやいや、何言ってるの。私はデビュー以来20年間、愛のために戦ってきたんですよ。わたくしこそが、博愛主義者であり、友愛主義者ですよ。私こそが、愛のために戦ってるんです。博愛主義です。自由、平等、平和。人類に友愛を。

(久々にランディバージョンだったが?)やはりデスマッチといえば、アンヴィルには任せられない。アンヴィルはミュージシャンだからね。デスマッチとなれば、さすがにランディの登場でしょう。今朝ランディが降りてきました。二日間デスマッチトーナメントという枠組みでやりますから、明日もランディでいきますよ。

(もう蛍光灯デスマッチはやらない?)そうですね…。ただ葛西含め、対戦相手に地獄の苦しみを与えるという意味ではね、私は蛍光灯を上回る何か道具を考えて、リベンジしますよ。このままでは終わらない。

(蛍光灯を上回るアイテム?)うん。そうしたら一つしかないでしょう! 蛍光灯を上回る、アイテムだ! いいか、これしかないでしょう皆さん! 蛍光灯を上回るアイテム、LED! LED電球だ! よーく覚えとけ。

(けっこうコストが…)大丈夫です。蛍光管タイプのLEDの代理店の権利、私が持ってます。安く仕入れます。

(試合中に蛍光灯を検分してたのも?)ええ、メーカーを見てました。何故か判を押したように全部パナソニックだった。せめて東芝を使いたかった。深い意味はないです。

(記者団、何も聞くことがなくなり深い沈黙)…。敗者には何も聞いてくれるなですよ。
2010.8.23.mon
第99回 未来は俺「たち」が作る!〜潮﨑vs中邑に見た未来 エース、と呼ばれる選手の資格って何だろう? プロレスの技量、センス、圧倒的な存在感、自分の主張をわかりやすく伝える言葉、人を惹きつけるビジュアル。選ばれた存在であるプロレスラーの中で、更に選ばれた存在であるべき人、それがエースです。

NOAH旗揚げ10周年記念の有明コロシアム大会で組まれたスペシャルシングルマッチ、潮﨑豪vs中邑真輔の1戦は、共にエースと呼ばれる条件を兼ね備えて余りある同士の戦いでありながら、非常に対照的な2人であることがはっきりと現れていました。

柔の中邑vs剛の潮﨑。手足の長い中邑vsがっちりした潮﨑。陰の中邑vs陽の潮﨑。発言に含みのある中邑vsストレートな潮﨑。挙げていけばキリがありません。

しかし、そんなタイプもプロレスのスタイルも異なる2人が名勝負を奏でることが出来るのが、プロレスの面白いところでもあり、不思議なところです。

新日本プロレスG1クライマックスの最終日、公式戦で初めてこの2人がシングルマッチを行った時、向かい合った瞬間にこれは何かワクワクすることが始まりそうだという期待感が溢れました。そういう試合っていくつかこれまでにもありました。ZERO-ONE旗揚げ戦のメインでの永田vs秋山、大日本プロレスで行われた昨年のベストバウトの伊東vs葛西、などなど。

あの時には30分で決着がつかなかった中邑vs潮﨑ですが、それが間を置かず再戦になったのは嬉しい。名勝負は頻発しちゃいけないものと、熱いうちにどんどんやった方がいいものと二通りあると思いますが、中邑vs潮﨑がこのタイミングでまた見られたのはとても意義があったと思います。

序盤のレスリング、そしてヒザ蹴りと逆水平の攻防。途切れることのない緊張感。

このところ発言もどんどん先鋭化して、最もインタビューし辛い選手の1人である中邑真輔選手ですが、実は中邑選手が全くタイプの違う熱血漢とする試合が好きです。IWGP戦のvs大谷晋二郎戦もそうでしたが、中邑選手の持つ冷静さが相手の熱さを非常に際立たせている。相手を褒めたりすることも少なく、ぶっきらぼうな発言が多い中邑選手ですが、誰よりもプロレスに誇りと熱い思いを抱いているのが試合を見ていると伝わってきます。

最後は完璧に決まったかに見えたゴーフラッシャーをカウント2.9で返した中邑選手に、殆どこれまで出したことがない腕をクラッチしての変形ゴーフラッシャーでカウント3。潮﨑選手が、2人の戦いに決着をつけました。

試合後の中邑選手のコメントに思うところがあったので書き起こしてみます。

中邑--苦しい、痛い、疲れた。精神的にも肉体的にもぼろぼろ。
何でやんのプロレス?そうまでして何でやってんのプロレスを?
心えぐる、それがプロレスのリアル。
悔しいよ、自分に。潮﨑がどうのとか、この際言わせてもらうけれど関係ない。
自分自身、何と闘う? 自分、環境、自分で作った壁だろうが。
潮﨑、どうだろうね? 散々薄っぺらいとか透けて見えるとか言ったけれど、
若干前とは違ったように見えたけれど。

あいつ誰かと闘ってるの? ただ試合こなしてるだけじゃないの? もっとさらけ出せよ。もっとさらけ出せって。今のままじゃ何にも背負ってない。十字架背負った方がいいんじゃないの、あいつは。ノアにいるから本気で、あいつの前にに立ちはだかるヤツなんかいねぇんだろ。だったら自分でやるしかねぇぞ、潮崎。


自分のプロレスに対する信条を吐露していた中邑選手がふと、思い立ったように語気を強めて「あいつ誰かと闘ってるの?」と潮﨑選手に問いかけたのが印象的でした。それは言葉を返せば「誰かと闘わなくちゃいけないんだよ」というエールでした。

新日本プロレスの中で敢えてアントニオ猪木の名を出し、常に自分も廻りをも追い込む発言をして孤高の存在になっている中邑選手。彼が、潮﨑選手に問いかけた言葉は、ありがちな「一緒に闘っていこう」ではないけれど、共に見えない何かと戦っていって欲しいというエールに聞こえました。

「未来は俺が作る!」とかつてリング上でときの声を上げた中邑選手でしたが、この試合は「未来は俺『たち』が作る!」という宣言だったのではないか。そう私は受け取りました。果たして潮﨑選手がどうこれを受け止めたのかはわからないし、中邑選手に「そうですよね?」と確認したところでニヒルに返されてしまうことはわかっているけれど。
そしてメインで圧倒的な強さで秋山選手を破りベルトを防衛した杉浦選手。「寂しいなあ、何で玄藩しかいないんだよ。一緒に乾杯しよう」とGHCジュニアタッグ挑戦が決まった平柳選手と乾杯

Profile

三田佐代子
三田佐代子 Sayoko mita
  • 生年月日:1969年8月5日生まれ
  • 血液型:A型
  • 出身地:神奈川県小田原市

慶応大学卒業後、1992(平成4)年テレビ静岡にアナウンサーとして入社。 報道・スポーツ・バラエティなどあらゆる分野で活躍し、テレビ静岡の看板アナウンサーとなる。 より一層の飛躍を目指し、1996(平成8)年3月、同局を退社しフリーとなり古舘プロジェクトに所属する。 その後はプロレス専門チャンネル初代キャスターに抜擢。 現在、年間100試合以上の取材観戦でレスラー顔負けのアグレッシブさを見せている。 その他レポーターやMC、執筆活動など幅広く活躍中。 サヨコアリーナPLUSは、業界でもファンが急増中。