三田佐代子の猫耳アワー

2014年10月23日(木)

第242回 プロレスキャノンボール2014の旅は続くよ

10月21日火曜日と22日水曜日の二日間、私たちをツイッターに張り付きにさせたプロレスキャノンボール2014が23日木曜日午前0時にゴールを迎えました。

改めて説明するまでもないことではありますが、これはマッスル坂井総監督のもと、DDTが制作する映画の中のプロジェクトです。選手が4チームに分かれてそれぞれの車で東北を目指し、そのスピードと、道中で出会ったプロレスラーとの試合でポイントを稼ぐ。そして今回はその模様が選手によってリアルタイムでツイートされたため、それを見守る私たちはすっかりツイッター廃人と化してPCや携帯にかじりつきました。

携帯電話で連絡が取りやすい時代であること(今更ですが)、それぞれの土地に根付いたプロレス団体や道場があること、そしてその経緯が全てリアイルタイムでツイッターで晒され、それを誰もが見ることが出来、そして交渉が成立し興行が緊急決定してもそれをまたリアルタイムで告知できることなど、様々な条件が全て重なり合ってものすごいグルーヴを生み出したのが今回の #pwcb2014 でした。映像制作という部分で言えば、DDTが自前で4班分の映像スタッフを揃えられるのも強みです。

そして当然のことながら、対戦相手の交渉はその選手の生きてきた道をたどる旅にもなりました。学生プロレス時代の仲間と再会する選手。かつて自分を叱咤激励してくれた先輩。もしくはこの旅がなければリング上で出会うことがなかった相手との出会いにもなりました。坂口征夫選手とことり選手。飯伏幸太選手とかめっしー。

週モバのコラムにも書いたけれど、思えば旅をしながらリング上での一期一会を繰り返すのがプロレスで、プロレスキャノンボールはそれを早回しで見せてくれたようなものです。そして東北はみちのくプロレスの道場に何とかみんながたどり着いた午前0時、旅が終わるのを惜しむ私たちの前に驚くような発表がなされました。

プロレスキャノンボールはまだ終わりません。今回のメンバーによる、入場無料の興行を東北で行うことになりました。日程と場所は決まり次第お伝え致します。なお、その宣伝部長に大家健が任命されました。興行当日まで東北に滞在して、今回の盛り上がりを更に大きくしていきます。 #pwcb2014
プロレスキャノンボール2014 @pwcb2014

震えました。そういうことだったのかと!今回の旅の目的地が東北だったのにも、福島でゴージャス松野さんのお家を経由したのにも意味があったんですね。

ご存じの通りプロレスキャノンボールは2009年初頭にも制作されています。あれから5年が経ち、私たちはみな同じ時間だけ経験を重ねた。DDTは両国や武道館に進出しプロレス団体として大きく成長した。高木三四郎選手は業界内の押しも押されぬ大社長として一目置かれている。飯伏幸太選手は新日本との2団体所属になった。そして、マッスル坂井はプロレス界から去り、新潟で一家の主としてそして父としての生活を築きつつ、金型工場の若旦那として新潟の経済を支えている。

そして東北は、2011年3月11日に東日本大震災に見舞われました。

今回、この旅をただのお祭り騒ぎに終わらせるのではなくて、東北で無料興行をするところにまで繋げたのは間違いなく、この5年という時間がもたらした彼らの成長であり、社会との接点によってもたらされたものだと思います。マッスル坂井はそのあふれる才能がやはりだだ漏れしてしまい、新潟に居ながらにして結局プロレス界だけでなくテレビ業界からも引っ張りだこ。ひとりひとりの影響力があの頃よりも大きくなっているということは、自分たちで何かを起こせるという自信に繋がったはずです。

この二日間 #pwcb2014 を追い続けてこの旅が終わらなければいいのにと思っていた私たちの前に、思いもよらない形で旅は続くことが宣言されました。あの頃の旅はただ楽しくて、懐かしい人に会えて良かったね、で終わっていた。でも今度の旅は違う。それは永遠の子供たちのように私たちの目には見えている彼らプロレスラーたちが、実は社会にきっちり接点を持ち責任感のある大人になっていたことを、改めて教えてくれました。プロレスで社会に接点を持つことができる。プロレスで役に立つことがきっとできる。

ただ二日間引きこもって夢中になってハッシュタグを追いかけていて楽しかったねー終わるの寂しいねーと思っていた私にとってこの発表は衝撃的で、ただ面白がっていた自分に引き替え自分の気づかないうちに彼らが大人になって遠くにいってしまったような気になり(いやもちろん私の方が年齢は上ですが)、何というか自分の浅はかさというか無力感にさいなまれてしまったのですが、客観的に思えばこれはすごく嬉しいことで誇らしいこと。この二日間、著名なディレクターさんや様々なクリエイターを悔しがらせたプロレスキャノンボールの旅の先に、こんな素敵なゴールが用意されていたというのは、私たちプロレスファンにとっても誇らしいことだし本当に頭が下がります。

この先私たちにどんなお手伝いができるのかわからないけれど、言い回しとしてじゃなくまだ旅が続くのであれば、それを追いかけたいし応援したい。明日になればみんな社長としてだったり専務としてだったり会社員だったり学生だったり、みんなの日常が待っている。でもどこかでこの旅が続いているって思えるのはとても素敵なことです。

私たちはきっとまだ、面白いことが出来るし、面白いことを応援できるし、誰かの役に立てる。そう信じることができたプロレスキャノンボール2014でした。