2009.12.9.wed
第61回 2009年度 東京スポーツ社制定 プロレス大賞発表! はい皆さんおはようございます。そしてお待たせいたしました。これを書いているのが12月9日の午前2時。正午からプロレス大賞選考会に出席しその後インディーのお仕事の収録がありその後「こんばんは、エグザイルです!」のサスケさんとSアリーナをご一緒し、そして今これを書いています。疲れているはずですが変にテンションが高く、心地よい興奮状態です。って大丈夫か私?

さてお待たせいたしました。2009年度東スポプロレス大賞選考会の模様をリポートいたします。
まず始めに各賞の発表です。

最優秀選手賞 棚橋弘至(新日本プロレス)
年間最高試合賞 伊東竜二vs葛西純(大日本プロレス 11.20後楽園)
最優秀タッグチーム賞 曙・浜亮太組
殊勲賞 杉浦貴(プロレスリングNOAH)
敢闘賞 真壁刀義(新日本プロレス)
技能賞 飯伏幸太(DDTプロレスリング)
新人賞 浜亮太(全日本プロレス)
女子プロレス大賞 さくらえみ(アイスリボン)
特別功労賞 三沢光晴
功労賞 松永高司
功労賞 テッド・タナベ 


今年は例年通り、選考委員長に東スポ柴田さん、特別選考委員に内館牧子さん、そして東スポ他各スポーツ紙の代表、マスコミ代表を加えて全27名の選考委員によって選考が行われました。

まずはMVPの選考から。すんなりと棚橋弘至選手を推薦する声が挙がり、続々と他の委員からも棚橋選手を推す声が続きます。棚橋選手の推薦理由としては、
「1年を通してタイトル戦線に絡み続けた」
「試合内容がいずれも素晴らしい」
「世間に届いたのは棚橋だ」
「どの業界でもスター不足の中、ずっとスターで有り続けたのは棚橋だけだ」
「彼の存在がイコール新日本プロレス。そしてその明るさ、スピード、彼しか今年はいない」
などと、年間通して彼が最前線に立ち続けたことへの評価がありました。
他には杉浦貴選手を推す声が挙がり、「三沢光晴の死という出来事があったNOAHで、彼だけがその暗い影を振り切って団体を引っ張り、明るい一歩を踏み出すきっかけとなった」とその推薦理由が。

今年はこの2人だけですぐ投票に。棚橋22票、杉浦5票という結果により、棚橋弘至選手が最優秀選手賞に輝きました。

次にベストバウト。何と10試合が候補に挙がり、その中でも5試合が棚橋選手の試合という大混戦に。推薦順に、

2.15 棚橋弘至vs中邑真輔(新日本プロレス)2票
5.3  棚橋弘至vs後藤洋央紀(新日本プロレス)1票
5.6 棚橋弘至vs中西学(新日本プロレス)3票
8.30 武藤・船木組vs蝶野・鈴木組(全日本プロレス)3票
6.20 中西学vs棚橋弘至(新日本プロレス)3票
11.20 伊東竜二vs葛西純(大日本プロレス)9票
12.1 武藤・船木組vs諏訪魔・河野組(全日本プロレス)1票
6.14 プリンス・デヴィットvs飯伏幸太(新日本プロレス)1票
11.8 中邑真輔vs棚橋弘至(新日本プロレス)1票
8.16 真壁刀義vs中邑真輔(新日本プロレス)3票

第1回の投票ではこのように票が割れ、3票以上の試合で再投票に。

5.6 棚橋弘至vs中西学(新日本プロレス)0票
8.30 武藤・船木組vs蝶野・鈴木組(全日本プロレス)3票
6.20 中西学vs棚橋弘至(新日本プロレス)10票
11.20 伊東竜二vs葛西純(大日本プロレス)11票
8.16 真壁刀義vs中邑真輔(新日本プロレス)3票

ここでも過半数の14票を獲得した試合がなく、再々投票にかけられることになりました。

さて、そこで伊東vs葛西です。この試合については、
「平日の後楽園に2013人という超満員のお客さんを集めた」
「この闘いが実現するまでに6年という月日がかかり、お客さんも待ち焦がれた気分で会場は爆発した」
「バルコニーダイブ、カミソリボードというアイテムの使い方、デスマッチとしてだけでなくプロレスの試合として素晴らしい」
「文句なしに面白かった」
という推薦が熱烈にあったのですが、それ以外で興味深かったのが、
「当日は普段プロレスを撮らないカメラマンが撮影に行ったのだが、大興奮して凄かったと言いながら帰ってきた」(東スポカメラマン)
「この日はデスクで紙面を担当していたのだが、写真があがってきてそれだけで凄いと思ったのは今年この試合が一番だ」(東スポデスク)
という紙面を担当する側の意見も後押しになったんだと思います。

まああまりこのコラムで自分がどの賞に何を推薦したかを書くのはフェアじゃないと思うのですが、この試合については私が推薦しなくちゃいけない、という使命感が最初からありました。棚橋選手は確かに素晴らしい試合が今年たくさんあった。でもそれは私じゃない誰かがきっと推薦するでしょう。
だけれど、伊東vs葛西は、サムライTVの代表として、そして選考委員の中でもまあ守備範囲を広く取材している1人として、この試合を知って頂く必要がありました。

どの委員も1人1票しか持っていない。そして、どの委員も全ての試合を見ているわけではない。特に、メジャーのタイトルマッチでもない試合をノミネートする場合は、その試合を見ていない人にいかにその試合が素晴らしかったか、そしていかに意義があったかを、わかって頂く必要があるのです。

この試合に関しては「デスマッチだからダメだ」という意見はただの1人も出ませんでした。でも「これ見ていないんだよなあ」という声は確かに多く、そういった方々にこの試合の意味を、あの日の後楽園の熱狂を、知って頂かないといけない。

私だって伊東vs葛西はSアリ担当日だったので生観戦はしていません。だけどあの日現場に行ったスタッフがみな興奮して後楽園から帰ってくる様を、中継ディレクターが渾身の中継番組を制作した様を、そしてこの試合を観戦したファン、関係者、レスラーの感動を、受け取りました。これは、賞を獲れる獲れない関係なく、エントリーする意味がある試合だ。みんなの声を聞き、「大日大戦」をぼろぼろ涙を流しながら見て私はそう強く強く思い、この試合の意味を、私なりの言葉で説明したつもりです。

そして決選投票です。
6.20 中西学vs棚橋弘至(新日本プロレス)13票
11.20 伊東竜二vs葛西純(大日本プロレス)14票

たった1票差。たった1票差ではありますが、伊東vs葛西のカミソリ十字架ボード+αデスマッチが、2009年度のプロレス界で一番素晴らしい試合に選ばれました。この結果が出た瞬間、百戦錬磨の選考委員の間からも「おおっ!」という声が挙がりました。それほどの大激戦であり、死闘でした。

この試合が選ばれたことは素直に嬉しく、身が震えました。同時に、10試合中5試合が棚橋選手絡みの試合であるということは、それだけ棚橋選手の票が割れたということです。棚橋選手の試合がいずれも甲乙つけ難いほどに素晴らしく、改めて今年の最優秀選手にふさわしいということが証明されたと共に、「棚橋弘至vs伊東葛西」という闘いでもあったのです。

続いて最優秀タッグ賞です。推薦理由と共に、
健介・森嶋組(地方会場でもどこでも沸かせる存在感)
田口・デヴィット組(ジュニア、ヘビー問わず試合内容の素晴らしさ)
金丸・鼓太郎組(着実に勝利を積み重ねた)
曙・浜組(何と言っても比類なき存在感。2人とも角界からプロレス界に入り、本当に努力している。自分たちの体を生かしている)

特に曙選手に関しては、「彼がプロレス界で由緒あるベルトを巻いてこれだけ頑張っているっていうことを、相撲界にも知って欲しい」という声もありました。

投票の結果、曙・浜組が1度目の投票で22票を獲得し、最優秀タッグ賞受賞となりました。

続いて殊勲賞です。
杉浦貴、潮﨑豪、真壁刀義、中邑真輔、土井成樹といった選手が推薦され、「1.4ドームから団体内外問わず殺気ある試合を繰り広げ、最終的にGHC王者にもなった」ことが評価されて杉浦選手が21票を獲得、殊勲賞を受賞。

敢闘賞です。
真っ先に飯伏幸太選手の名前が挙がりました。飯伏選手に関しては、
「DDTという小さな団体がこつこつと積み重ねて両国大会を成功させたという心意気を買いたい」
「DDTだけでなく、新日本やNOAHにも参戦し結果を出した」
という声が。他には、
高木三四郎(DDTをここまで引っ張ってきた。客と常に勝負をし、その勝負に勝っている)
真壁刀義(G1優勝。会場を常に盛り上げた)
ヨシ・タツ(ゼロからアメリカで修行し遂にWWEに)
カズ・ハヤシ(常にクオリティ高い試合。CCにも準優勝)
柴田勝頼(ミノワマン、石澤常光に勝利)
といった幅広い選手がノミネート。

さて飯伏幸太選手について。
今年の飯伏選手が何らかの賞にふさわしい、ということについてはおそらくほとんど異論はないと思います。
では、何の賞がふさわしいのか。そもそも「三賞」って何なのか。前日に調べてみたところ、

殊勲賞=金星を挙げた選手
敢闘賞=敢闘精神(全力をふるって勇ましく戦うこと)に溢れた選手
技能賞=優れた技能を発揮した選手

とのことでした。もちろんこれはあくまで相撲界の三賞であり、プロレス大賞はそれにこだわっているわけではないのですが、もしかしたら飯伏幸太は今年、敢闘精神に溢れていたんじゃなかろうか。そう思って敢闘賞に推しました。

さて一度目の投票では
飯伏 9票
高木 1票
真壁 9票
ヨシ・タツ 3票
カズ・ハヤシ 3票
柴田 2票
となり、上位2名による決選投票に。その結果、

飯伏幸太 13票
真壁刀義 14票

とこれまた1票差で真壁刀義選手が敢闘賞に選ばれました。

この時の議論で感じたこと。
飯伏選手については、彼をよく見ている委員からは強く推す声が挙がる。そして飯伏をよく見ているような委員はまたよく発言もする(←誰のことでしょう)。なので、議論の上では圧倒的に飯伏有利なように思えるのですが、実際に投票をしてみると議論の趨勢ほどには票を集めない。今年ずいぶんメジャーになった気がする飯伏幸太選手ですが、まだまだ彼をもっと知って欲しい方々がたくさんいるんだってこともわかりました。

三賞の最後は技能賞。敢闘賞の結果を受けて、というわけではないですが、やはりしつこくここは飯伏選手を推薦。同じく高木大社長にも推薦の声が。他には、
日高郁人(今年の頑張りには是非名を残すべき)
カズ・ハヤシ(これぞ技術、全日本の若手のコーチとしても手腕発揮)
土井成樹(1年で7度防衛、曙相手にも勝利)
船木誠勝(新しい姿見せてくれた)
といったノミネートが。

ここで毎年カメラマンさん人気の高い飯伏選手に今年も推薦の声が。
「両国のフィニッシュホールド(フェニックス・プレックス・ホールド)、あれはリングサイドで撮っていて全く予想が出来なかった。当然パワーボムが来ると思っていたら意表をつかれた。あれぞ今までのプロレスにない技術だ」
とまたカメラマンさんならではの推薦理由で、面白いなと。

投票の結果
飯伏 17票
高木  1票
日高  0票
カズ  7票
土井  1票
船木  1票
となり、飯伏幸太選手が晴れて技能賞受賞です。おめでとう飯伏選手。そしておめでとうDDT。

新人賞です。昨年は澤田敦士選手受賞で様々に論議を呼んだこの賞ですが、今回は

竹田誠志(アマレス仕込みの技と思い切りの良さでデスマッチファイターとして花開いた)
浜亮太(今年は彼しかいない。アンコ型の相撲出身レスラーで初めて花開いた)

と2選手のノミネートが。投票の結果、
竹田誠志 2票
浜亮太 25票
となり、浜亮太選手が新人賞受賞となりました。浜ちゃんはベストタッグとの2冠王です。そして竹田選手、残念でしたがこれで竹田選手の名前を知ってもらえるいい機会になればなと思います。

功労賞としては、
特別功労賞 三沢光晴選手
功労賞   松永高司 元全日本女子プロレス会長
功労賞   テッド・タナベレフェリー
のお三方が。悲しいお別れでしたが、テッドさんの名前がこういう形で刻まれたことには少し安堵しています。

特別賞として、カムバック賞(船木誠勝)、話題賞(船木誠勝、菅林新日本プロレス社長、中邑真輔)などが挙がりましたが、いずれも過半数の同意を得られず見送りに。

そして、女子プロレス大賞。
さくらえみ選手を推薦する声がすぐに挙がり、
「自分の団体を1から作り、プロレスに縁のない子たちをきちんとレスラーとして育て上げた」
「NEO、JWPといった女子の団体に出場し、常にベルトに絡みしかも試合内容が素晴らしかった」
「結婚ネタなど東スポの紙面も盛り上げた(笑)」
「行き場のない選手たちを自分と対戦することで生き返らせてきた」
などと様々な応援演説が。しばらく女子プロレスを見ていなかった記者の方々も、「ああ、あの! Iジャにいた元川恵美か!」と驚愕されていたようで、「いやあよく辞めずに頑張ったよ」と感慨深いコメントも。
彼女以外のノミネートもなく、信任投票となりましたが、20票獲得と、棄権者を除くとほぼ満票獲得といっていいと思います。2003年の浜田文子選手以来、6年ぶりの女子プロレス大賞の復活です!

彼女に関しては、会が終わった後もカメラマンさんから「さくらはあの5月の田村欣子戦が凄く良かったよね」という声も挙がっており、女子プロレスが紙面に取り上げられることすら少ない現状で、いかに頑張って世間に届く努力をしてきたか、ということだと思うのです。心からおめでとうございます。

…ということで、長文にはなりましたが、実は今年の選考会じたいは2時間あまりと、例年に比べると比較的短時間で終わった年でした。事前予想だと揉めるだろうと思われたMVPが一発で棚橋選手受賞になり、一番票が割れたのはベストバウト。でも、全般的に「いや、これはあり得ない」という非難囂々の議論はなく、いずれの賞にも理由があり、納得できるものでした。

もちろん毎年言っていますが全ての皆さんに納得して頂くことは難しい。でも私自身のことに関して言うならば今年に関しては、去年、一昨年と比べたら、自分が伝えたいと思っていることを選考会でお伝えすることは出来たのではないかと思います。

そしてインディーファンの皆さん。伊東vs葛西のベストバウトを、飯伏幸太の技能賞受賞を喜んで下さい。胸を張っていいと思います。彼らはどこに出ても恥ずかしくない、今年のプロレス界を代表する選手たちです。

そしてそんな彼らが今回の受賞の第一報を聞いて、果たしてどんな反応を示したのか?! 伊東、葛西の奇しくも同じ境遇、そして飯伏幸太がつぶやいたあまりに彼らしい一言とは!…こちらは今週10日木曜日午前0時更新の、週プロモバイル『三田佐代子のサムライ合衆国』の方に書きますのでどうぞ楽しみにしていて下さい。さすが飯伏! 想像の斜め上!

今回、サムライTVはこの選考会の前後と、その結果報告を待ち受ける団体、さらには授賞パーティを1時間番組にして放送いたします。
12月21日月曜日24時 「輝け2009年プロレス大賞授賞式」にも乞うご期待。

長らくおつきあ頂いた皆様に感謝の気持ちを込めて、癒し系画像投下。私が10年前にSアリーナで「ゴッホ三田」という絵描きキャラだった時に書いた、東北の英雄ザ・グレート・サスケ。
こ れ は ひ ど い

Profile

三田佐代子
三田佐代子 Sayoko mita
  • 生年月日:1969年8月5日生まれ
  • 血液型:A型
  • 出身地:神奈川県小田原市

慶応大学卒業後、1992(平成4)年テレビ静岡にアナウンサーとして入社。 報道・スポーツ・バラエティなどあらゆる分野で活躍し、テレビ静岡の看板アナウンサーとなる。 より一層の飛躍を目指し、1996(平成8)年3月、同局を退社しフリーとなり古舘プロジェクトに所属する。 その後はプロレス専門チャンネル初代キャスターに抜擢。 現在、年間100試合以上の取材観戦でレスラー顔負けのアグレッシブさを見せている。 その他レポーターやMC、執筆活動など幅広く活躍中。 サヨコアリーナPLUSは、業界でもファンが急増中。